奇妙に光る天体。その正体は

By 2022年3月29日NEWS

2021年3月29日11時00分

2019年に初めて発見された「ORC」(奇妙な電波サークル)の研究チームが、南アフリカ電波天文台(SARAO)の電波望遠鏡「MeerKAT(ミーアキャット)」の観測データをもとに「ORC」について詳しく分析し、その結果が3月22日に発表されました。

 

観測データでは、リングの中心に小さな電波放射の塊がみられ、これは遠方の銀河と一致する。このことから銀河が「ORC」を生成している可能性が高い。研究チームでは「このリングの大きさは約100万光年におよび、約10億光年離れた銀河を取り囲んでいる」と考えている。

また「MeerKAT」が検出したリングの中の微弱な電波放射をモデル化したところ、「ORC」は銀河を包み込む球状の構造をなしているとみられることがわかった。

さらに「MeerKAT」の観測データから電波の偏波をマッピングし、「ORC」の中の磁場の分布を調べた。その結果、球状の縁に沿って磁場が走っていることが示されている。

研究チームでは、これらの分析結果から、「ORC」が形成された原因を「超大質量ブラックホール(SMBH)の合体」説と「銀河のスターバースト(大質量星が短時間で大量に生成される現象)」説の2つの仮説に絞り込んでいる。

超大質量ブラックホールの合体によって膨大なエネルギーが放出され、ORCが生成された可能性がある。もしくは、スターバーストによって銀河から高温ガスが吹き出し、球状衝撃波が発生したのかもしれない。ブラックホールの合体もスターバーストも珍しい現象であることは「ORC」が非常に珍しいことの裏付けともいえる。

「ORC」をさらに詳しく調べるためには「ASKAP」や「MeerKAT」よりも高感度の電波望遠鏡が必要だ。研究チームでは、現在建設がすすめられている超大型電波望遠鏡「SKA(スクエア・キロメートル・アレイ)」に期待を寄せている。

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