木星に土星のような環がない訳とは

By 2022年7月24日NEWS

2021年7月24日 17時08分

木星と土星、どちらも太陽系で水素やヘリウムを主成分とした巨大ガス惑星ですが、土星には水の氷が主成分の環があります。

木星にも氷ではなく塵を主成分とした環があるのですが、その環は非常に薄く暗いため、1979年にボイジャー1号の接近観測があるまで、発見されることはなかったそう。

カリフォルニア大学リバーサイド校の天体物理学者と大学院生が、現在のような姿に木星がなった理由を探るべく、木星の「ガリレオ衛星」と呼ばれる4つの巨大衛星(イオ。エウロパ、ガニメデ、カリスト)の軌道、木星自身の軌道、形成された環の存続期間などを調べるコンピューターシミュレーションを実行。

その結果、質量が大きい木星自身の影響で環の材料となる氷の軌道が変化し、衛星と衝突したりすることで環の形成が妨げられる可能性が示され、ある天体を周回する2つの天体が重力を介して相互作用した結果、公転周期が単純な整数比に近づく、軌道共鳴といわれる状態になっていると特に環の形成に影響を与えるそう。(ガリレオ衛星はイオ・エウロパ・ガニメデの公転周期の比が1:2:4の整数比に近いと言われており、このような状態はラプラス共鳴ともいわれるそう。)

 

ふたりの分析によると過去にも木星には環が存在しなかった可能性が高いと見られている。

 

また、天王星や海王星でも惑星の環は見つかっており、自転軸が98度と横倒しになっている天王星は過去の巨大衝突によって自転軸が傾いたと考えられており、その環は衝突の痕跡である可能性があるといわれている。

今後、天王星に関するシミュレーションを行い環の存続期間を確認する計画を立てているとのこと。

 

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